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FF、クロノ、KH、聖剣のオーケストラコンサート「Symphonic Fantasies Tokyo」に行ってきたよ!感想レポート

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FF、クロノ、KH、聖剣などゲーム音楽の曲を演奏するオーケストラコンサート「Symphonic Fantasies」はドイツにはじまり世界中で開催されましたが、満を持して日本公演が実現!スクエニ公式のコンサートとして、1月7日・8日に上野の東京文化会館で開催されました! 東京国際フォーラムと違ってスピーカーを使わないコンサートなので、楽器が出す振動がそのまま耳に届く気持ちよさ。非常にハイクオリティで感動しまくりでした! 以下、感想交えてレポートします。 >>続き
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指揮:エケハルト・シュティーア氏
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京混声合唱団
ピアノ:ベンヤミン・ヌス氏
ダルブッカ:ロニー・バラック氏

やってきました上野にある東京文化会館。
1961年に完成した歴史あるホールでメディアには「クラシックの殿堂・オペラの聖地」と表現される由緒正しい場所であります。音楽をやっている方はここの音楽資料室にお世話になった方も多いと思います。そんな場所でゲーム音楽のコンサートが開催されるなんて…ッ!

さっそく中へ足を踏み入れてみると

お花なんかもあって華やかな雰囲気のロビーにはものすごい数の人がごったがえして……いや整然に並んでいますw!さすが良く訓練されたゲーム音楽ファンだ。今回は特に限定グッズの発売は無く、会場でしか買えないものはパンフレットだけでした。

パンフレットを買ってホール内へ!

今回「Symphonic Fantasies Tokyo」が開催される大ホールは2,303席。2010年に「Distant Worlds music from FINAL FANTASY」が開催された東京国際フォーラムAホールの5012席と比べると半分以下のサイズですが、この大きさだとスピーカーが不要なんです!スピーカーを通さないコンサートは2004年の「TOUR de JAPON music from FINAL FANTASY」以来、実に8年ぶりです。

1.Fanfare Overture
今回の楽曲をオーケストラ用にアレンジした編曲家の一人であるヨンネ・ヴァルトネン氏のコンサートのためのオリジナル曲。
これから始まるドラマを予感させる華々しい曲です!


2.FANTASY I(キングダム ハーツ)

・Dearly Beloved(キングダム ハーツ)
・Sora(キングダム ハーツII)
・Hand in Hand(キングダム ハーツ)
・Kairi(キングダム ハーツII)
・The Other Promise(キングダム ハーツIIファイナルミックス+)
・Happy Holidays!(キングダム ハーツIIファイナルミックス+)
・A Flight to the Death(キングダム ハーツII)

構成曲は上述のとおりですが、これらが単純なメドレーになっているわけではありません。ベンヤミン・ヌス氏のピアノで演奏される美しい「Dearly Beloved」のメロディが各曲の間に登場して、曲全体をまとめています。
曲のハイライトとなるのはやはりロクサス戦の「The other promise」でしょうか。ストリングスがぶわわーっと歌い上げて感動…!!

3.FANTASY II (聖剣伝説2)

・天使の怖れ
・少年は荒野を目指す
・永劫回帰
・予感
・呪術師
・薔薇と精霊

もうね、「天使の怖れ」ですよ!スーパー名曲ですよ。ドット絵ばかりだったスーパーファミコンにあって、密林の奥にそびえ立つ大樹のイラストをそのまま取り込んでスクリーンに映し出したあのオープニングが蘇ります。
スーパーファミコンでは「SQUARESOFT」のロゴが出るときに魔物がうごめくような気持ち悪い音がするんですけど、オーケストラではそこまで再現!!
バイオリンの弦をこすったり、木の部分を叩いたり、プラ版?(鉄板)をボワンボワンさせてみたり、いろんな音が混ざりあって、弱かった「風」がだんだん「嵐」になっていきます。
そして嵐が最高潮になったところでストリングスが泣きそうなほどに美しい主旋律を奏でます。
ゾワゾワゾワーっ!!と鳥肌と涙と鼻水といろいろ出てきました。

「呪術師」。まさか、この曲をオーケストラが演奏する日が来ると誰が思ったのだろうか、いや思うまい。
変態な曲です。
なんの音かよくわからない音がサイケデリックに鳴り続ける儀式っぽい原曲ですが、今回は東京混声合唱団のみなさんに妖しい呪文をつぶやいてもらったり、バイオリンの弦を叩いたりしてそれを再現していました。

曲の最後にまた「天使の怖れ」のモチーフが再提示され、風に戻っていきます。ここでは合唱団が楽譜をペラペラめくったり、口をパクパクさせて水の音を出してみたり、自分の腿のあたりを叩いたり、面白い方法で聖剣伝説の舞台である樹海の音を再現していました。美しさはもとより、
「あ、オーケストラってこんな音も出せるんだ!」
って思わせる試みがふんだんに盛り込まれたいいアレンジだったと思います。これはCDで聴くよりも目の前で見たほうが断然よいです。

-ここで15分間の休憩-

4.FANTASY III : クロノ・トリガー/クロノ・クロス

・予感(クロノ・トリガー)
・CHRONO CROSS~時の傷跡~(クロノ・クロス)
・クロノ・トリガー(クロノ・トリガー)
・やすらぎの日々(クロノ・トリガー)
・王国裁判(クロノ・トリガー)
・疾風(クロノ・クロス)
・運命に囚われし者たち(クロノ・クロス)
・遥かなる時の彼方へ(クロノ・トリガー)
・魔王決戦(クロノ・トリガー)
・カエルのテーマ(クロノ・トリガー)

ダルブッカという太鼓のような民族楽器の演奏者であるロニー・バラック氏を迎えての演奏。それはもう「時の傷跡」のためですよ!
そもそも、原曲がムービー用の音楽であり民族楽器を多用した躍動感あふれる生演奏でした。今回のオーケストラ版ではロニー・バラック氏の超絶技巧によりその「血」をはっきりと受け継いでいます。もうね、高橋名人もびっくりするような超高速で太鼓を叩いていくわけですよ!観客みな目が釘付け。みなぎる中東のリズム。
そんな「時の傷跡」に酔いしれていると、いつの間にか「クロノ・トリガー」のメインテーマが重なっていることに気づきます。この楽章では「クロノ・トリガー」のメインテーマがモチーフとして随所に使われています。

クロノ・クロスのバトル曲「疾風」はバイオリンの癖の強いねっとりした旋律にバラック氏のアツいパーカーッションが加わり会場全体が縦ノリになったかのようでした。
そんな民族的な曲ばかりではなく、「やすらぎの日々」や「運命に囚われし者たち」では切なく聴かせます。特に「運命に囚われし者たち」はオーケストラの本領を発揮してこれでもかと観客を泣かせようとかかりつつ、背後にエンディングテーマ「遙かなる時の彼方へ」のメロディも重なりだすテクニシャンなアレンジ。泣く。
「風の憧憬」ばかりがクロノじゃねえ!!とどや顔のアレンジャーの顔が目に浮かびます。

司会のお姉さんがお待たせしましたといわんばかりにわざとらしく紹介した最後の曲。
開始前の拍手がひときわ大きかったです。
5.FANTASY IV : ファイナルファンタジー

・プレリュード(ファイナルファンタジー)
・闘う者達(ファイナルファンタジーVII)
・片翼の天使(ファイナルファンタジーVII)
・チョコボのテーマ(ファイナルファンタジー)
・迷いの森(ファイナルファンタジーVI)
・ビッグブリッヂの死闘(ファイナルファンタジーV)
・オープニング・テーマ(ファイナルファンタジー)
・オープニング ~爆破ミッション(ファイナルファンタジーVII)

今まで3作品のアレンジを聴いて来た観客のみんなはだいたいわかっているわけです。「メインテーマがモチーフになって曲中に何回も登場する」というパターンだと。しかし、その予想は大きく裏切られることになります。

ハープの生演奏と合唱によるプレリュードにはじまり、会場は一気にFFワールドに引き込まれ、FF7の通常バトル曲「闘う者達」でヒートアップ。盛り上がりが最高潮に達したところで、「片翼の天使」のイントロ部分のジャン!ジャン!ジャン!ジャン!と鳴り響きます!!
「セフィロス来る…ッ!!」
誰もがそう覚悟した瞬間、オーボエが「♪チョッコボッ、チョコボッ、チョッコッボー」とチョコボのテーマを奏でます。さながら、セフィロス戦の緊迫したシーンでチョコボが「クエっ!」とてとてと前を横切ったかのように…。
そのまま曲は「チョコボのテーマ」へと展開していきます。
これがまた茶目っ気たっぷりのアレンジですごくかわいい。

実はとっても美しい旋律のFF6「迷いの森」と、おなじみ大人気バトル曲FF5「ビッグブリッヂの死闘」を経て、「ファイナルファンタジー」メインテーマが流れはじめます。この最初の4小節の厳粛で荘厳な響きにいつも目頭が熱くなるんだよなぁと浸りはじめたところで、「ぷぅーい♪」って金管のかわいい音がして、またしても「チョコボのテーマ」が流れ出します!
チョコボ!会場をうろちょろしないの!!
チョコボはすぐに引っ込んでFF7「オープニング ~爆破ミッション」になります。魔晄炉を爆破しにいく緊迫した曲ですが、なんと背後にチョコボのテーマが重なって流れます。チョコボがどや顔でミッションに参加している様子が目に浮かびます。なにやってんの!

そんな、チョコボに支配されたFFの楽章ですが、最後はメインテーマ「ファイナルファンタジー」がオーケストラと合唱団によって壮麗に演奏され、コンサートのフィナーレとなりました。マジ国家。

会場は盛大な拍手につつまれます!
当然、アンコールとなるわけですが、その前に司会者の方から作曲者の紹介がありました。植松さんはアメリカにいるのでメッセージだけの紹介となりましたが、下村さん、菊田さん、光田さんのお三方は普通に会場に座って鑑賞していました!

6.Final Boss Suite

・Destati(キングダム ハーツ)
・子午線の祀り(聖剣伝説2)
・世界変革の時(クロノ・トリガー)
・妖星乱舞(ファイナルファンタジーVI)
・魔導士ケフカ(ファイナルファンタジーVI)
・片翼の天使(ファイナルファンタジーVII)

アンコールとして演奏されたのは各作品のラスボス曲を集めた「Final Boss Suite」!「世界変革の時」や「子午線の祀り」でテンションガ上がりまくった後はいよいよ「片翼の天使」になりますが、ここではなんと「魔導士ケフカ」と「妖星乱舞」も重なり合っている…!!会場からは「すげぇ…。」とため息が漏れていました。凝りに凝った今回のコンサートの編曲の集大成ってかんじでした!

指揮者とソリストたちが去っても鳴り止まない拍手!オーケストラと合唱団の最後の一人が舞台袖に入るまでずーっと拍手が続いていました。

はぁ…。素晴らしいコンサートでした。アンプやスピーカーを使わない場合は金管楽器の大音量に弦楽器や合唱が負けちゃったりすることもたまにありますけど、そんなことはなく、非常にバランスがいい状態で自分の耳まで空気の振動が到達していました。音色がとにかく美しい。めっちゃ気持ちよかった。指揮者のエケハルト・シュティーア氏は盛り上がるときにはぴょんぴょんジャンプしまくって全身で曲を表現されていましたし、東京フィルのみなさんの演奏技術は本当にすごくて、安心して身をゆだねることができました。


Distant Worldsがアンプやスピーカーで拡声し、巨大スクリーンにゲーム画面を映し出してゲームを思い出しながら音楽を楽しむ総合エンターテイメントであるなら、このSymphonic Fantasiesは音楽そのものをピュアに楽しむもので、楽しみ方が違うんだなぁと感じました。

今回のコンサートは曲の編曲の手法やコンサートのスタイルがクラシック音楽のそれに近く、クラシック音楽とゲーム音楽のクロスカルチャーの上に新しく生まれた、ゲーム音楽を「文化」として新しいステージに進めるとても意義のあるものになったのではないでしょうか。

惜しむらくは今回の公演がCD化されないこと!スクエニ公式Twitterでは以下のようにアナウンスされています。

今回の公演に関しては、今のところCD化の予定がないのです…。おととし「Symphonic Fantasies」のCDを販売しておりますので…。よろしければそちらもご検討くださいませ。

CD化どころかDVD化してほしいです!!(カメラがいなかったから無理でしょうけど) 
ドイツ公演のCD聴いたときは普通に「風の音だな」くらいにしか思ってなかったのが、実際に見てみたら合唱団の方が楽譜ペラペラしてたとは思いもよりませんでしたよw! 「見る楽しみ」も大いにありました。

コンサートの関係者のみなさんありがとうございました!至福のときを過ごさせていただき感謝感謝です!

今回のコンサートのドイツ公演はCD化されています。

Symphonic Fantasies-music from SQUARE ENIX/
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