ソニー幹部の反対を押し切ってプレイステーションを世に出し大成功させた久夛良木さんへのインタビュー。
私はプレステの開発を始めた当初から、どこかの時点でプレステをインターネットに”溶かしたい”という思いを持っていました。
久夛良木さんは昔から「The Network is PlayStation」という構想を持っていて、「クラウド」なんていう言葉が出るより遥か昔からその思想は一貫しています。そして、実際に世の中はここ10年で彼の描く世界へ近づいているような気がします。久夛良木さんは今のスマートフォンやクラウドをどう見ているのか。
スマホブームは一時的なものだと思います。本来、ネット端末は消費者に持っていることを意識させてはいけないのに、今のスマホはCPU(中央演算処理置)がどんどん高機能化して、1日で電池を使い切ってしまうようになっています。
一般には、スマホの高機能化がこれからも続くように思われているかもしれませんが、これは端末メーカーにとって都合のいい進化、願望に過ぎません。
端末が豊富な機能を持つ「リッチクライアント」の時代から、端末には限られた機能しか持たせない「シンクライアント」の時代へ大転換が起きると予想しています。
消費者が持ち歩くコンピュータには高度な処理能力は必要なくて、画面と音が出せればよい。高度な処理はネットワークの向こう側にある巨大な超高性能機がみんなやってくれて、端末は結果を受け取るだけでよい。久夛良木さんはそんな世界を予想しています。SCEがクラウドゲーミングの米GAIKAI社を買収した動きと重なって見えますね。それにしても、久夛良木さんの話はいつも刺激的です。こういう夢のあるビジョンを熱く語って先導(扇動)してくれる人が日本には必要だと思います。(日経ビジネス)