スクエニ2004-2013

ドラクエ、FF、クロノ、聖剣、イトケン…!日本BGMフィルハーモニー管弦楽団の旗揚げコンサート レポート

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ゲーム音楽をメインに演奏する日本初のオーケストラ「日本BGMフィルハーモニー管弦楽団」が結成後、初となるオーケストラコンサートを10月11日に開催しました。 その模様をお届けします! プロならではのハイレベルな演奏とゲーム愛に満ちた素晴らしいコンサートでした! >>続き
関連:日本BGMフィルハーモニー管弦楽団公式サイト

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画像は公式サイトより引用

会場は「かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール」。1318席の大きなホールです。

演奏曲は次のとおりです。

【第一部】

序曲/「ドラゴンクエスト I」より

グランディアのテーマ/「グランディア」より

The World Adventure/「ソニック ワールドアドベンチャー」より

メインテーマ「Wonder World」/「ソニック ロストワールド」より

パズル&ドラゴンズメドレー/「パズル&ドラゴンズ」より

華龍進軍/「三國志 V」より

交響組曲ファザナドゥ/「ファザナドゥ」より

【第二部】

赤い翼~バロン王国~愛のテーマ~オープニング/「ファイナルファンタジー IV」より

風の憧憬~クロノ・トリガー/「クロノ・トリガー」より

交響組曲アクトレイザー 2013/「アクトレイザー」より

レトロゲームの曲から最新ゲームの曲まで、RPG、シミュレーション、アクションなど実に多彩な選曲になっています。

序曲/「ドラゴンクエスト I」
開幕を飾るのはドラクエの序曲。この曲はドラクエ4以降の天空編と1~3のロト編では大きく編曲が違うのですが、今回はロト編、それもドラクエ1の編曲でした。日本BGMフィルの旗揚げの第一曲目に演奏する曲として、これほどふさわしい楽曲はないでしょう!均整と調和の取れた、実にプロらしい演奏となっていました。

グランディアのテーマ/「グランディア」
セガサターンの名作RPG、グランディア。音楽の評価も高い作品ですが、作曲者の岩垂徳行さんが登場しました!オーケストラ+ギターやドラムがある曲ですが、今回はオーケストラ用に特別に編曲をした構成での演奏。壮大なテーマ曲にふさわしくのびのびとした演奏でした!

The World Adventure/「ソニック ワールドアドベンチャー」
メインテーマ「Wonder World」/「ソニック ロストワールド」

作曲者のセガの大谷智哉さんが登場。この2曲についてのいきさつなどを語りました。もともと「The World Adventure」を演奏したいという話を日本BGMフィルからもらったときに、コンサートの日が10月24日の「ロストワールド」発売に近かったことから、「ソニック ロストワールド」の演奏を逆提案したそうです。ソニックというと、ロックサウンドであんまりオーケストラのイメージがないですが、The World Adventureはもともとオーケストラ用に作曲された曲。とても華やかで元気な曲でした!ロストワールドはマリンバがかわいく演奏されていました。

パズル&ドラゴンズメドレー/「パズル&ドラゴンズ」

司会:パズドラを作曲することになった経緯を教えてください。
イトケン:山本Pからオファーが来た。本当に自分でいいのか、なぜ自分なのかと打ち合わせで熱烈なオファーがあった。山本Pがパズドラに込めた想い、その熱意に応えなければと思い作曲をした。スマートフォン向けのゲームということで探りながらやっていたが、ふたを開けてみれば1900万ダウンロードというのは考えもしなかった。
司会:それでは最後になりますが…
イトケン:え、もう最後なの?もっとしゃべりたい。
司会:楽屋でお願いします。

「Departure」がめっちゃ爽やかにアレンジされてる!!大作RPGの壮大なフィールドのように、ホルンが鳴れば遠くの山が、ストリングスは広がる青空が見えてくるようです。気持ちいい。そして、バトル曲ロマサガばりのかっこいいノーマルボス戦の曲「Walking Through The Towers」ではイトケン節が炸裂!金管が重低音でせまってきたかと思えば、ストリングスが合いの手のように現れて、2つが合わさったところでパーカッションがシャンシャンシャンシャン!!と派手に鳴る。まぎれもなくイトケンのバトルやぁ…。
そして、バハムート戦「Dragon`s Den」では、ギターやシンセサイザーが鳴りまくりのバリバリロックな楽曲をオーケストラで。しかも、おもむろにコンマスの尾池亜美さんが席から立ち上がって、バイオリンソロ!バトル曲のバイオリンソロって超かっこいいですね!そのあと、今度はトランペットのソロ!アツいサウンドに客席から拍手や声援が贈られました!

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華龍進軍/「三國志 V」

市原:三国志Vは、服部隆之さんが作曲されている。ドラマHEROや王様のレストランの曲でも有名な方。三国志の「蜀」という一番弱い国がある。その国に攻め込んだときに流れる曲。それなのにこんな明るい曲調。滅びることが前提で前に向かっていると読み取ることができる。その哀愁を感じていただければなと思います。

ドラマでは半沢直樹、ゲームでは「IQ」、アニメでは「スレイヤーズ」など多方面で活躍している服部さん、さすがオーケストラ前提で曲を書かれるだけあって素晴らしい曲を書きますね!他の曲ではあまり聞こえてこなかったストリングスの中音域をうまーく前面に出すように配置しいて、とても厳粛な雰囲気です。そこに金管楽器が重なってきて、静かに盛り上がっていきます。市原さんの言うように、弱くても誇りは失わない、高貴な人たちの進軍。そういった印象を受けました。あまりにいい曲だったのでCDを買おうとAmazonを検索したんですが、10万円のプレミア価格に諦めました…。

交響組曲ファザナドゥ/「ファザナドゥ」
一般から募集していたアレンジコンテストの優勝作品。編曲者は「Yukimura Nishimoto」さん。優勝だけあって、大変なアレンジでした!応募規定の「15分」を使い切って様々な曲を組曲形式でつなげてあって、本当に多彩なアレンジ。曲ごとに喜怒哀楽ががコロコロと変わっていき、時にはおどろおどろしく金管がうなり、時にはストリングスが涙を誘い、時にはマリンバがとぼけ。オーケストラの面白さ、表現力の高さを実感できるものとなっていました。

休憩~プレリュード~赤い翼~バロン王国~愛のテーマ~オープニング/「ファイナルファンタジー IV」
休憩中、誰もいないステージにハープの奏者が一人。おもむろに弾き始めました。場内のざわつきの中、耳を澄まして聴いてみると、それはファイナルファンタジーシリーズ共通のテーマ曲「プレリュード」です! 談笑していた観客たちは「あれ、プレリュードじゃね?」と、そのことに気づいて、だんだん場内が静かになっていきます。ステージ上には、バラバラと奏者が集まってきます。ハープのソロ部分が終わり、フルートやストリングスが重なるところまで演奏が進むと、ステージ上に集まってきな何人かの演奏者が演奏をはじめ、だんだん楽器が重なって演奏されていきます。プレリュードが終わるころには、オーケストラが全員集合!指揮者が登場してFF4「赤い翼」の演奏がはじまりました。

FF4のオープニング曲であるこの曲は、主人公セシル率いる飛空挺団「赤い翼」が進軍するときの曲。原曲の持つ勇ましさを金管楽器が高らかに鳴って表現していました。原音に忠実に編曲された重厚な「バロン城」を経て、FF屈指の名曲として最も多くの編曲がなされている「愛のテーマ」へ。スクエニ公式のオーケストラコンサートでも何度も演奏されていますが、今回はその楽譜とは異なる、このコンサートのための新規アレンジ。これが綺麗!!曲が持つ美しさを引き出すシンプルなアレンジで、うっとりしてしまいました。もっと聴いていたかった…!「オープニング」はいわゆる「ファイナルファンタジー」のテーマ曲です。弦楽器を重視した原曲のFF4版をしっかりなぞらえて、高貴で勇ましく「これぞFF4」と言える壮大な演奏でした!

風の憧憬~クロノ・トリガー/「クロノ・トリガー」
「風の憧憬」は言わずと知れた超人気曲!スーパーファミコンの原曲は、弦楽器の弦をはじく「ピチカート奏法」をイメージした音が使われていますが、今回のコンサートではもちろん本物の弦楽器によるピチカート奏法。素朴な音を聴くと、雲間から現れる緑と青の美しいフィールド画面が思い浮かぶようでした。メロディ2週目からは木管の優しい音色に切り替わってふわーっと柔らかい雰囲気が会場全体に広がります。そして、サビに向かってストリングスにバトンタッチ。丁寧で優しく伸びるストリングスの美しい音色に舌鼓を打ちます。抑え目なところがたまらんですよ!チェロが前面に出てきたり、木管が出てきたり、気持ちいい編曲に演奏ががっちり応えていました。

クロノトリガーのオープニングで使われているメインテーマ。勇ましくもかっこいい金管楽器。下でがっしりティンパニー&スネア。かっこいい…。聴き惚れる…。そんな勇敢なAメロから一転して、サビは泣きそうになるくらいに美しいストリングス&木管。光田さんはええ曲作りはるなぁ…。この極端な振れ幅がみんな大好きなわけですよ!さすがの演奏、わかってらっしゃる!そして、その静寂を破るように、再び金管+太鼓のズンドコしたクライマックスへ一気に雪崩れ込んでぐわーっと終了!! 拍手が始まるまでの一瞬の余韻、たまらなかったです。

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交響組曲アクトレイザー 2013/「アクトレイザー」
楽団の代表理事である古代祐三さんが作曲したゲーム史に残る名曲「アクトレイザー」。かつてオーケストラ版のCDが発売されていましたが、今回は「交響組曲アクトレイザー 2013」として新たに演奏されました。なんと今回のコンサートで唯一の合唱付!豪華編成で大迫力でした!
特に印象に残ったのはやっぱり人気曲「フィルモア」。アンサンブルコンサートの時とおなじく、画面がぐわーっとズームしていくときのジングル「降臨」も含めて演奏で再現されていました。1991年のオーケストラアレンジとは全く違う編曲で、原曲のノリの良さをそのまま受け継いだものとなっていました。1991年版のアレンジはあまり人気がないのですが、こっちは人気でそうですよ!テンポが速い分、演奏は大変だと思いますが。さらに、途中でコンマスの小林明日香さんがおもむろに席を立ってバイオリンソロ演奏!主旋律をアドリブっぽく演奏していて超かっこいよかったです!

鳴りやまない拍手の中、アンコールとして曲名を告げずに演奏されたのはこの曲。

「子午線の祀り」聖剣伝説2~「Smiles and Tears」MOTHER 2
子午線きたー!!聖剣2のラスボス曲でございますが、イントロですでに大興奮ですよ!!コンピュータミュージックならではの超高速パッセージ「ティラリラティラリラ」しているところは、ストリングスに割り当てられてて、大変なことになっていましたw。編曲者の島岡りを氏はTwitterで「子午線の弦が過酷なのは分かっていましたので確信犯です。」とコメントしています。鬼や…w。一方でコンマスの小林明日香氏は「やるしかない!と燃えました」と頼もしいお言葉で、その言葉通りに見事に演奏されていました。また聴きたい…!

そして、アンコール2曲目。曲名を告げずに演奏が始まると、金管楽器のファンファーレの音色がやけに大きく聞こえます!いつの間にか、バンダのトランペット2人が2階席に立ち、そこで吹いているではないですか!そして、曲は…
「序曲のマーチ」/ドラゴンクエストV 天空の花嫁
オープニングを飾ったのはロト編の序曲でしたが、エンディングは天空編の序曲です!ロト編の編曲は弦楽器が主体となっていますが、天空編では金管楽器が主体。特にV版はマーチにアレンジされていて、コンサートの最後でマーチと言えばみんなで手拍子です。会場が一体となって序曲を演奏し、大声援の中、コンサートは終了しました。みんなで手拍子するとやはり楽しいですね!旗揚げコンサートの最後の曲として、あえて序曲を選択したのはやっぱり楽団の始まりを暗示したからなのでしょうか。いい演出だったと思います。
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全体として、さすがプロ!と思わせる演奏でした。演奏者に身をゆだねていいんだという安心感があります。しかしただのプロではなかった。手に楽器を持っている演奏者が拍手をしたいときは代わりに足踏みを使うことがありますが、イトケンが登場したときの楽団員の足踏みがドスドスとハンパなかったです! そんなところで、ああ、ゲーム好きなみなさんが集まっている楽団なんだなぁと再認識しました(笑)。そんなゲーム好きのプロのみなさんによって演奏される楽曲はどれも生き生きとしていて、聴いていると無性にゲームをプレイしたくなってきますw。クロノトリガー、また最初っからやろうかなぁ…。

昨今、日本のオーケストラ楽団を取り巻く状況は大変厳しいものがあります。たとえば、神奈川フィルハーモニー管弦楽団は楽団の存続をかけて5億円の募金を募っていたり…。そんな中でゲームを主体として新しく楽団を立ち上げるというのは並大抵の苦労ではなく、まず第一回目のコンサートの実現にこぎつけたこと自体が何より凄いことだと思います。

 演奏者のみなさんはバイオリンの先生などの別の仕事を持っていたりして、おそらく現在は日本BGMフィル単独で生計を立てている方はいないのではないかと思います。今後プロ楽団として成立していくためには、もっとたくさんコンサートを開催することや、たくさんのコンサートを開催しても毎回お客さんが集まるだけの多様な楽曲バリエーション、そこに集まる幅広いファン層が必要です。1つの楽団を支えるためには本当に大きなすそ野が必要です。その、すそ野の広さというが潜在的にどのくらいの大きさのものなのかのはわかりませんが、ゲーム音楽が一つの文化として成立しうるかどうかの目安になると考えています。日本BGMフィルの今後の活躍を期待したいですし、ゲーム音楽を引っ張っていく存在に育っていって欲しいなと思います!
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次回のコンサートは文京シビックで3月8日!今回は金曜日で仕事や学校がある方の参加が難しかったですが、次回は土曜日。曲目の発表を楽しみに待ちたいと思います。正直、今回の曲たちは1回きりの演奏で終わらせるにはあまりにもったいないです!

関連:日本BGMフィルハーモニー管弦楽団公式サイト
関連:アンサンブルコンサートのレポート

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