化粧品メーカー最大手の資生堂は、100年近くにわたって同社内で手書きで伝承されてきた独自フォント「資生堂書体」の詳細をYouTubeで公開しました。
資生堂広報部に入社した社員は1年間この書体を練習するのだそうです。動画では「美」という文字をレタリングしていく過程が映されていますが、その所作も美しいです。「美意識」のような明文化が難しいものはこういう手法で次の世代へ引き継いでいくんですねぇ。(YouTube)
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入社以来、一人前になるまでは黙々とデスクに向かい、
ひたすら文字を描き続ける毎日。
新人デザイナー作の資生堂書体が日の目を見るのは
資生堂ギャラリーで行われる展覧会の案内看板です。「おっ、いよいよデビューだな」
「ん? ちょっと横線が細いんじゃないか」
「そこの文字間はもっと詰めた方がいい」
看板の文字を描いていると、あちらこちらから先輩たちの声がかかります。案内看板一枚とはいえ、資生堂の制作物として世に出るものですから先輩デザイナーたちがこだわるのも
無理はありません。このようにして、新人デザイナーたちは知らず知らずのうちに先輩たちが培ってきた資生堂独自の感性や美学を体で憶えていきました。
そして、入社直後の新人デザイナーが資生堂書体を練習するという伝統はコンピューターによる制作が主流になった今も
受け継がれています。