本日6月24日に開催されたスクウェア・エニックスの定時株主総会に出席しましたのでいつものように内容をレポートします。FF7リメイクのムービー上映や発言もあり、興味深い総会となりました。
■業績報告
環境の認識とスクエニのフォーカスポイント
・PS4/XoxOneが売れており、E3で好調
・スマートデバイスのアプリ市場も拡大
・F2Pや月額課金などビジネスモデルの多様化
・そうした環境の中でスクエニが追求するものは「面白く楽しいコンテンツサービスの提供」・デジタルエンタテインメント事業におけるIPの考え方:
既存IPとスマートデバイスの両輪で行く。前年度に引き続き既存IPのリブート・強化を継続しつつ、今年度は新規IPの創出を行う。・グローバル展開:新たに中南米、ロシア、インド、南アジア、中東の開拓を狙う
セグメント別
・HDゲーム:大型タイトル無かったが、既存タイトルが好調。今年度は大型タイトル投入
・スマデバ:スクスト、IXA、ミリオンアーサー、FFRK、メビウスが好調。
・MMO:FF14とDQ10の二本柱が収益を下支え
・AM:ディシディア、電子マネーを展開。バーチャルな時代こそライブ体験が価値を持つ。
・出版:アニメ作品が好調。今年度は新規IPと電子書籍を強化。海外から引き合いも多数。
・グッズ:安定的に推移。
■質疑応答
株主:33期に営業利益が大きく下がった理由は?
⇒コンシューマタイトルの端境期で、大型タイトルの収益が伸びなかった。また、開発パイプラインの見直しを行った結果損失が出た。
株主:特命組合損益分配前税金等調整前当期純利益とは何か?
⇒会計上のテクニカルな部分で、15年前のFF映画のために作ったFFフィルムパートナーズ。毎年一定の収益が上がっていたがこれの存続期間が15年で、終了処理のためのもの。
株主:固定資産売却損とは何か?ホールディングスが固定資産を持つのか?
⇒旧エニックスの本社だった新宿・初台のビルを売却した。老朽化しており修繕費などがかさむため、バブル期に買ったビルを売却することによる差損を差し引いても売却したほうがよいと判断した。
株主:株主資本が150億から160億になっているのはストックオプションと関係があるのか?
⇒関係ない。新株は転換社債が株式へと転換されたため。
株主:ウェアラブルなど新規領域への対応は考えているか?
⇒研究はしている。特にVRは今年のE3で反響が大きく、コンテンツメーカーがこぞってやっている。当社もいくつか実験的なプロジェクトをやっている。
株主:取締役で株を持ってない人が買う予定はあるか?
⇒個人の資産運用の話と、制度上のデリケートな問題もあるが、大事なのは株主と同じ目線で経営していくことだと思っている。
株主:アミューズメント事業の海外展開は?
⇒非常に難しい。従来型のタイトルは難しいが、「ライブ」という観点ではマッチする。新しいエクスペリエンスを提供できる。たとえば、パリで開催されるJAPAN EXPOにプリクラを持ち込んだところ大好評だった。こういった可能性はあるかもしれない。
株主:和田氏の神羅カンパニーの経営戦略について伺いたい
⇒シンラの戦略は、ストリーミングではないクラウドゲーミングの新しいプラットフォームを作るということ。今SDKを作りE3でプロトタイプを発表した。新しいビジネスをやって生きたい。Googleとβをやったりしたが、パートナー戦略も考えている。
株主:著作権法違反で大阪府警から家宅捜索を受けた件はどうなった?
⇒遺憾に思っている。社員教育を徹底していく。ご心配をおかけした。法解釈は係争中のため言えないが、財務への影響は限定的。
■IRカンファレンス
・E3 2015のムービー上映(20分程度):ライズオブ トゥームレイダー、DeusEx、JustCause3、ニーア新作、SO5、ワールドオブFF、FF7、KHUCK、KH3。
株主:3年前にFF7リメイクの質問をしたが今は念願かなって満足。ドラクエ11が出る予定はあるか?
橋本:FF7は18年経ったがPS3のころからリクエストをもらっている。検討していく中で、やりたいことがPS4であればできると判断しこぎつけた。
三宅:いきなり核心の質問で緊張している。来年はドラクエ30周年にあたり、11に限らずタイトルやイベントを準備中。もうしばらく待って欲しい。
株主:ドラクエ10で離婚した女性を悪く言う不適切な表現があったがチェック体制は?
松田:コンテンツを扱う会社として倫理表現のチェックは細心の注意を払っている。海外では国が違えば習慣が違うが、それらもチェックできる体制を敷いている。
三宅:大事なのはお客様がどう感じられるか。もう一度すべてのテキストをチェックしている。
株主:大作発表が目白押しだが、それを開発できる体制はあるのか?また発売まで待たされることはないのか?開発効率化のためのルミナスエンジンがKH3で不採用など聞いたが、開発プロセスは大丈夫か?
松田:ご心配をおかけし申し訳ない。トレンドをどこまで取り入れるのかといった判断はあるがタイムリーに提供できる体制を敷いている。エンジンはタイトルの特性を考慮して決定している。
株主:FF7リメイクはエアリスなどシナリオの改変に踏み込むのか?
橋本:エアリスの質問を18年間もらっている。オリジナルのFF7はひとつの完成形。ここで個別に話すことはできないが、今の時代にあわせたものになるように検討をしているところ。
株主:ドラクエ10のディレクターの顔色が悪くて心配
三宅:りっきーの顔色は私も心配している。本人も自覚があり、昨日と今日は強制的に休みを取らせた。
松田:開発者のワークライフバランスは会社として重要なテーマとして取り組んでいる。
株主:もしドラクエ11が出たら、ドラクエ10はどうなるのか?
三宅:スタート当初から10年はサービスをやっていこうと話していた。今はまだ3年。ドラクエ11発売後も継続する。
株主:FF7リメイクが出るが、登場人物の喜怒哀楽がはっきり出るようなグラフィックになるのか?ピクサーやディズニーは誇張表現になっている。
橋本:技術的な進化でフェイシャルアニメーションも進化している。トゥームレイダーは怪我をしたら本当に痛そうな顔をするなど表現が凄いが、あとはキャラクターデザインとの相性。
フィル:ララ・クロフトの顔の表情は、目の表現で技術革新がありあの表現ができるようになった。
株主:欧米のゲームはおじさんが主人公の作品が多く、日本のゲームは若く子どもなどが多い。アーロンのようなキャラクターが主人公のゲームを日本で作る予定はあるか?
三宅:ドラクエにはトルネコがいたりするが、鳥山明さんはおじさんが好きでいつも推してくる。なかなか難しい。
橋本:イケメンが多いFFで申し訳ないが、シドなども人気がある。ただし、シドの大冒険といった企画は今のところ社内では出てきていない。人気が出たら検討したいが今のところ予定は無い。
フィル:Grate Question! おじさんシンドロームについて考えたことは無かったが多様性は必要。 ララ・クロフトを見ると若さの象徴となっているし、最近発売した「Life is Strange」は女子高生で、欧米でのリアクションが面白かった。
株主:ドラクエ10をWiiUでやっているがアップグレードに600分、ダウンロードに2時間もかかる。キャラが見えない問題のパッチを出してくれたりしているのはわかるが、ハードの限界を感じる。PCに乗り換えようにもソフトを買いなおす必要がある。
三宅:Wii自体のサービスが中止ということでどうしていくか任天堂さんと検討している。引継ぎキャンペーンなども検討している。
株主:ドラクエ10でゴールドを人から買ったら利用停止4日間を食らった人がいた。事前に禁止事項は告知するなどすればその人もやらなかったと思う。
三宅:気をつけてやってはいるが、告知が不十分で申し訳なかった。
終了
お土産はスライム製氷皿でした!
今年はさすがにFF7リメイクに関する質問が多かったですね。社長が和田さんから松田さんに変わって、路線変更が鮮明になってきた昨今のスクエニ。スターオーシャンなどの既存の人気タイトルが家庭用ゲーム機向けに復活してきていますし、先週のE3ではFF7のリメイクが話題を呼びました。総会では「コンシューマータイトルとスマートデバイスの両輪でいく」とはっきり明言されていたのが頼もしいと感じました。
【過去ログ】
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