FFの生みの親である坂口博信氏が京都で講演を行いました。FFができるまでの話から、FF4/5、FF7、FF映画、プレイオンライン、クロノトリガーと面白いエピソードが満載です!
坂口 たとえば石井や、のちのノムテツ(野村哲也氏)もそうですが、絵描きはわかりやすいですよね。スケッチブックを見た瞬間、「この子は欲しい」となりました。河津は東京工業大学のSF研究会で後輩と……彼の後輩もその後スクウェアで活躍するんですが、年がら年中ボードゲームをやっていたような人間なので。僕や田中は『ウィザードリィ』や『ウルティマ』を介してRPGを知りましたが、それよりも元祖のTRPGやボードゲームの知識が満載の人間でしたから。そこは面接で話せばわかりますよね? 「この知識はすごい」と。
――個性的な方が多いですね。
坂口 知識と絵がメインで、性格はどうでもいいと思っていたので。それでこうなっちゃいましたね(笑)。
個人的に面白かったのは次の下り。
坂口 ありましたね。「『DQ』はなかなか抜けないから、タイトルナンバーの数だけでも抜こうぜ」と言ったり。でも、本気ですよ? 「4作目ぐらいで抜けるんじゃない?」と言って、3作目までダッシュで作りました(笑)。AppleIIのころ、『ウィザードリィ』よりも『ウルティマ』のほうが新作が早く出たんですね。最初は『ウィザードリィ』がおもしろかったのに、『ウルティマ』が抜いていったような勝手なイメージがあったので、ソフトを矢継ぎ早に出すことも大事なのかなと。あとは「RPGの主人公がしゃべらない」ということを堀井雄二さんがおっしゃったことで、僕らは逆にその呪縛が解けたので、「しゃべってもいいんじゃない? 映画みたいにしちゃおうよ」って。
この判断が、FFが映画的な演出に流れていく大きな分岐点になったんだと思います。それがPSになってFF7で一気に花開くわけですが、ドラクエは主人公キャラがしゃべらずボイス化が難しいですし、しかも戦闘時に自キャラが表示されないのでリッチなコンピューティングリソースの恩恵を当初は享受できてなかったように思えます。今はドラクエ11なんか、かなりFF寄りに変わってきましたけど。
また、過去に社長からFFシリーズを終わりにすることを提案されたことを明かしました。
――途中でシリーズを終わらせようと思ったことはないんでしょうか。
坂口 一度社長に言われたんですよ、「坂口終わりにするで」って。「何でですか?」と聞いたら「終わりと言ったらいちばん売れるから」と言うんです。「そりゃあないよ、続けましょう」って(笑)。……まあ、3作置きにハードが変わったのがよかったですね。映画でも何でもそうですが、続きモノは3作くらいまではなんとかいけても、4作目くらいからダレてくるじゃないですか。それが、ハードのイノベーションに乗っかれたので、ガラッと変えることができました。『FFIX』までは、3作品ずつ作ってきた感じがします。