業界誌のCG WORLDに『NieR:Automata』のライティングについての広告記事が掲載されています。本作の開発にあたったプラチナゲームズでは、これまで職人芸で3DCGを制作してきたそうですが、今作からは現代的な物理レンダリングの手法を取り入れているそうです。この記事では、直接光に加えて物体に反射した光も考慮に入れる高度なライティング手法の「グローバルイルミネーション」で、どうやってあの世界観を描き出しているのかを解説しています。
特にオブジェクトが密集しており情報量が多い街の部分や、草木が地表を覆う草原地帯では、周辺環境に応じた照り返りの色をもつ間接光が、フィールド中の静的なオブジェクトに対して影響を与えるほか、キャラクターをはじめとする動的オブジェクトに対しても影響を与えるようになっており、環境内に確かに存在しているという自然な臨場感を与えることに成功している。
草原が広がるエリアでは、コスチュームのベルベットやブーツのレザー部分に、間接光や環境からの色の照り返りが適度に乗り、キャラクターの情報量が増えると共に、周辺の環境に馴染んでいることがわかる。
自然すぎて気づかずにプレイしていますが、環境の光の色に合わせて、それがキャラクターにも反映されているんですね。
キャラクターの基本の明度は、画面の全体の露出とは完全に切り分けて設定されており、空間中の光源変化との関係で決定されているものではない。とはいえ、環境からの影響をまったく受けないのも違和感を生じさせることから、キャラクターを適度に背景と馴染ませる手段として、Enlightenによる間接光の影響のみを抽出するかたちでキャラクターに適用している。
しかし、ただリアルにするのではなく、物理法則を無視してでもキャラクターを魅力的に魅せたり、プレイしやすくなるように照明はコントロールされているようで、そのあたりのサジ加減は三人称視点のアクションゲームを多く手掛ける同社の強みかもしれません。
本記事について、ディレクターのヨコオタロウ氏は次のように語っています。
Enlighten は導入で作業がメチャクチャ遅延した上に、リアルタイムGIですらなくなったので、結果から言えばニーアについては導入失敗だったと思う。>光と影の圧倒的なリアリティ『NieR:Automata』×Enlighten | インタビュー https://t.co/JcZsFjqSyE
— yokotaro (@yokotaro) 2018年3月7日
この件は誤解を招きかねないから公言する、という事をプラチナさんには言ってたけど、表立って記事になってたので書いた。
慣れた運用状態だったり、リアルタイムGI前提のグラフィック設計のプロジェクトなら違うのかもしれないけど、まあ、ニーアはそうでななかったという。 https://t.co/mQpoKtC6F1— yokotaro (@yokotaro) 2018年3月7日
Enlightenが悪いというよりは、「最終系のニーアではEnlightenを生かし切れていない」ってことなのでしょうかね。
売り上げランキング: 644