今年の7月で発売20周年を迎えたFF10。ということで、FF7/10/13の主要開発メンバーである北瀬氏・野村氏・鳥山氏・野島氏が当時を振り返る対談が行われました。当時の苦労話も面白いものがたくさん語られているんですが、個人的に注目したいのは、20年経った今だからこそわかる、時代の流れを総括するような話。例えば、開発プロセスについては、FF10を境に大きく変わったようです。
鳥山『X』までは、『VII』の開発くらいから使っているスクリプト言語のようなもので、プランナーが自分でデータを直接いじることができました。ですが『X』以降、たとえば『ファイナルファンタジーXIII』の開発では、スクリプト言語よりも独自にあつらえたツールを使うことが多くなっていきます。それを扱える専用のデザイナーに発注する形で作業を進めるようになっていくんですね。ですから、プランナー自身が直接データに触れられる、手作り感みたいなものが感じられる作品は、『X』が最後になったのかなと思います。
北瀬 プランナーの仕事が、どちらかと言うと企画書や発注書を書くことがメインになっていったのは『X』より後。『X』以前と以後では大きく変わったように思います。
FF10は、北瀬さん自身が直接ブリッツボールのモーションを作ったりと、「手作り」で行っていたのが、それ以降は大規模開発の分業がより徹底されてプロセス化されていくことになります。
また、時代の影響も大きく受けていたようで、特にインターネットが徐々に広まっていく中で、ネット上の書き込みはかなり意識していたようです!
北瀬 野島さんもお話されていましたが、あの時代はインターネット文化が世間に浸透してきたころでした。もちろん僕たちも書き込みを読んでは一喜一憂しましたし、その影響を多分に受けて、次回作の構想を練ったりもしました。たとえば「なぜモンスターを倒すとお金が手に入るのか」という、RPGのお約束みたいな部分にご意見があれば、『VIII』では給料制を導入してみたり。『X』がオリエンタルのテイストなのは、まず野島さんの発想があったからですが、『VII』や『VIII』へのご意見に「SF路線ではなくてファンタジーがいい」というものがあったことも影響しています。ですからシリーズとしても前作の反響をいちばん受けた時期ですね。
ただ、「ファンタジーがいい」という意見を反映しても、王道の中世ファンタジーではなく、アジアンテイストのファンタジーに落とし込んだのは、今思うと大正解ですね!
また、FF9まではボイスが無かったものが、フルボイス化することも大きな転換点に。
テキストという呪縛から逃れ、音声でキャラクターの言葉や感情が伝わるというのは大きなことでした。ゲームを遊ぶ我々ならテキストで表現されているだけでも感動できますが、ゲームに慣れていない人はそうではないというギャップをとにかく埋めたかったので。『X』はその到達点になったと思っています。
『VII』でその1歩は踏み出していましたが、やはりボイスがないせいで、ゲーム独自の文法を押しつけているところがあるという悩みはありましたからね。過去に何度かお話したことがありますが、とくにそのジレンマを感じたのが『VIII』のワンシーンです。スコールが魔女の魔法で肩を貫かれて落ちていくところで、画面ではリノアが叫んでいるのですが、ボイスがないために、ものすごく違和感があったんですね。そういう未成立だった部分が、ようやく『X』で完成に至ったなと。
スーパーファミコンからPSへ変わった第一作目であったFF7もFFの大きな進化があったポイントですが、PSからPS2へと変わったFF10も様々なポイントがあることがわかりますね。
記事ではこのほか、評価の高いFF10のシナリオがどのように形作られていったのか、名曲「ザナルカンドにて」と焚火を囲むシーンの生まれた経緯などが語られています!ぜひ全文をご覧ください。