うっわ、なにこれ!!たまに電ファミニコゲーマーってものすごいディープな記事を出してきて驚愕しますが、すっげーの来ましたよ!これは必読&保存版。いわずと知れたゲーム史に残る金字塔『タクティクスオウガ』の開発がどのように行われたのか、開発ツール「HERMIT」をX68000実機で起動させながら当時のスタッフ(吉田さん・皆川さん)たちと語り合う企画です。記事はこちら。
まず、HERMITが何をしているかというところから。
一般的なスーパーファミコンのゲームですと、背景に使う画像のチップを並べたデータ(BGスクリーンデータ)をROMカートリッジに保存しておいて、それを読み込むのが普通です。BGスクリーンデータは、スーパーファミコンのハード側のフォーマットなので、このデータは公式ツールで作成できます。
一方で「HERMIT」は、ROMカートリッジの中のマップを、32種類の柱状のパネルが、32×32の盤面に敷き詰められた情報で保存していて、その情報を元にHERMITがスーパーファミコンが表示できるBGスクリーンデータを都度生成しています。これを動的に生成している、と説明しました。このような特殊な描画手法のため、標準の開発ツールでは対応できませんでした。
つまり、マップエディタですね。普通のマップエディタと違うのは、縦横に加えて高さ情報も持っていて、それをもとに描画しているというところ。
で、気になるのは、なぜPC98ではなくX68000を開発機に選んだかですが、色数とのこと!
本作は様々なクラス(職業)と、武器装備をグラフィックに反映するゲームデザインなので、攻撃側と受け手側双方のクラスや装備を素早く切り替えながら、編集と確認ができる環境が無いと開発時間が足りなくなる懸念が大きく、そのためには専用のツールが重要だと判断しました。
そこでスーパーファミコンと遜色ない色数を同時に表示できて、テレビに近い解像度の画面を表示できるX68000をツールのプラットフォームとして選びました。
この当時から、「ゲーム実行時にテレビでどう表示されるのか」を開発機材上で確認できたってのはかなり画期的ですね。ほかにも描画をなめらかにするために、わざとキャラの動きをズラしていたとか、驚愕のテクニックが明かされたり、なんかすごいです。
皆川氏:よく見るとフィールドで歩いているキャラクターはちょっとずつ動きのタイミングがズレているんですよ。
──え……?
皆川氏:
ユニットが行進するアニメーションをAグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループというふうに4つにわけて、順々に描画しているんです。なので、アニメーションは60fpsでは更新できなくて、4フレームに1回の更新になるという制約があるんです。
でもその代わり、同時に表示・描画する数は1/4 になりますから、ゲーム全体のパフォーマンスは安定するんですね。
60回ローンで開発機材を買ったとか、弓矢の処理は三次元だとか、初代PS向けのFFTは逆に開発ツールがまだ整備されてなくて相当苦労したとか、面白い話がわんさかです。というわけで、ぜひ全文読んでください!!