英国ロンドンで開催中のFF14のファンフェスにFFの生みの親である坂口博信氏が参加し、吉田Pとの対談やゲームプレイなどが行われました! オープニングと、気になった対談部分の主なトピックスをご紹介します。
吉田:もう14初めてもらって2年ですよね。
坂口:もうガチで。ここ、みんなヒカセンなんですよね?
会場:歓声
坂口:仲間です!まだ2年の新人ですけど仲間です!もう、毎日ほぼインして、FF14が僕の生活の30%を占めている。FF14バンザイ!
吉田:ぜひ今日から2日間、ミートアンドグリートありますし、ステージにも特別コーナーもありますので、ぜひ最後まで。光の戦士として来たとおっしゃってましたんで。
坂口:今日は、ひとつ、お礼を言いたくて。カッパありがとうございます。カッパ最高でごさいます。
吉田:カッパのコスプレ作りましょうか?
坂口:やりましょうか。
吉田:あらためてメッセージお願いします。
坂口:世界中の人が見ているんですね…。カッパありがとう!!!FF14の中で一緒に出会えて冒険できるという。素晴らしい場所だと思いますので、心から感謝したい。これからもみんなで一緒に冒険しましょう!
坂口:もちろん、コミュニティの意見は重要視するけども、今回の作品の最初の頃の反応とか、何本売れたのとか、それそのものが前作の評価だったり。特にFFはそれぞれがつながっているので、それぞれがいろんな意味でつながっている感覚がある。感想だけじゃなく、前作に基づいて作られるし、いま作っているものは未来への一歩。階段のようなかんじ。
吉田:けっこう作るタイトルによって、どのくらい比重を置くかは変わる。例えば、FF14だとMMOで開発チームもたくさんプレイしているがどうしてもプレイヤーのほうがプレイ時間が長いので、だからこそUIまわりとか快適性はフィードバックをとことん取り入れていこうという思想になる。
吉田:今回FF14/16とシリーズにかかわらせてもらって、坂口さん・植松さんみなさんが作りあげてきたものを、先へつないでいく途中の一人としてやっているので、前作を見たうえで大事にしたい部分と、挑戦したい部分が50%-50%くらいでした。
坂口:その前にPCでRPG作っていたが、ファミコンはロムカセットの容量が入らなくて、アクション専用だと思い込んでいた。そこにドラゴンクエストが出た。セーブもできなかったので、文字を打ち込んでセーブデータの代わりにするとかアイディア豊富で。できるんだとショックで目が覚めた。もともとRPG楽しんでいた派だったので、それをきっかけにとにかく作ろうというかんじだった。
吉田:その企画段階から、リアルタイムにFF1遊ばせてもらったが、映画的。まるで映画だなと思った演出も物語も。それは最初から意識したんですか?
坂口:ものすごく映画大好きだったので、その影響は大きい。最初のPCのころからだけど、画面はとにかく綺麗にしたい。美しさってゲームのすごく大事な部分だと思うし、自分が生み出すのであれば、極力美しくあって欲しいというか。その延長線上に演出も入ってくるんだと思う。
吉田:50歳になってヒントをいただいた気がした。美しいって「画面がきれい」とかクオリティってなっちゃう。美しいゲーム、美しくありたいってそりゃもう、演出もやっている人たちも美しさを魅せたいって、そこからゲームデザインに落ちていくというのは、けっこう衝撃だった。俺得ですね。
坂口:植松さんにはとっても失礼なことをしてしまって。これって、全ボツにしたら良くなるんじゃないかと思って全ボツにした。で、植松さんが一週間してカセットテープ持ってきて「できたよ」と。で、聴いてみたらすごくよかった。素晴らしい!植松さんこれだよ!って言ったら、「曲順並べ替えただけなんだよね」って。
吉田:それは、一曲すら変わってなかったんですか?
坂口:曲順を買えただけ。
吉田:こわ!うちのスタッフもたまにいますよ。このSEどうしてもここに出すんだ!って、2週間後に「これなおってなくねぇ?」って言ったら、「いや、わかんないと思ってそのまま出しました!」って。でも、順番の入れ替えってイメージ全然変わるから、まんまとやられた感じだったんですか。
坂口:聞く前から全ボツにするって決めてたんで、僕が悪いですね。
吉田:聞いてもいなくて全ボツにしたんですか?
坂口:聞いてても、こういう(右から左に流れていく)かんじですね。I’m sorry Mr.Uematsu!
坂口:資料を持ってきました。これは石井こういちという聖剣とか作った彼のアイディア。最初のアイディアは職種としては楽しいものを作りたいってあるけど、ビジュアルから入ってきていて。彼がかわいい剣士を書いたら、あなんかタマネギだよなってところで、「たまねぎ剣士」。僕はなんでたまねぎ?って思ったんですが、絵には説得力があって、こいつはたまねぎだよなってなりますよね。
吉田:いやでも石井さん、とてもやさしいひとなんですけど、初めてスクエニに入社した時、真っ白なスーツでオールバックでエナメルピカピカの靴でやってきたときに、俺なんて会社に入ったんだろうかと。
坂口:人間見た目で判断できないいい例ですね。
吉田:E3でもよく声かけていただきます。それにしても、ほんとにかわいいですね。
坂口:で、石化すると「しょんべんこぞう」になったんですよ。
吉田:コメント大爆笑の嵐になってますよ。僕はこんどFF14で新ジョブ考えるときは、フィードバック優先なのと、今あるゲームデザイン上、今あるジョブの中でメカニクスが変わる面白さを持ったジョブってなんだろうとみんなで決めています。今回バイパー発表しましたけど、開発チームで何度もコンペをするが、最後まで残っていたのが3つ残っていた。
坂口:それは教えてくれないの?落ちたやつ。
吉田:毎回出てきて、ムズいなってなるのはハンマー使うジョブ。
坂口:ハンマーだったら、直接攻撃だけど空振りがあって、空振りしたら地面たたくから地震が起こるってのはどう?
吉田:素晴らしいアイディアだけど、実装するときのフィードバックが予想できる。確率じゃなくて、確実にアースクエイクが起こるタイミングを作ってくれって言われるんですよ。なんか、一番、僕らもコンフィーズしてたジョブとしては「ダブルシールドジョブ」ってのもある。タンクなんですけど、どっちの手にもシールドを付けている。攻撃になってねぇじゃんというのでボツになった。
坂口:現実的じゃないものは当たり前に実現できていないが、最初の一作目からチームに行ってたのは、後半いいアイディア思いついても、全部今のにいれろと。多少作り直してもいいから、全部120%詰め込んで、空っぽになんなきゃ次作れないし、今作っているものはダメになるから、可能な限り昔は詰め込んでいた。
吉田:開発の後半に思いついたアイディアを次回作に入れるんじゃないなくて、今入れるってことですよね。当時、スケジュールが発売に迫ってくると、坂口さんの大号令でいくつかのチームが並行して走ってたとしても、明日からFF5ねってあったと聞いてるんですけど。
坂口:すべてじゃないけど、わがままだったんですかね。いいから、やるよ、と。
吉田:だからこそ、FFってすさまじいパワーが詰まっているんだなというのはそのエピソードで感じる。FF14も毎回詰め込むだけ詰め込んでパッチを出し、はぁー、次どうすっか、って。
坂口:まず、MMORPG自体が日本でポピュラーでなかったし、遊んだことがないスタッフばかり。僕がこれがとにかく面白いゲームの形だと思ったので、まずスタッフ20人くらいに対して、まず仕事として遊びなさいと。そこがスタートでした。そしたら、すごい優秀なプログラマーがゲームの世界から帰ってこなくなっちゃって、それを引き戻すのが大変だった。
吉田:そのプログラマー結局帰ってこれたんですか?
坂口:半分くらい帰ってきましたね。
吉田:当時、坂口さんがどこにもおらず、打ち合わせしたいなら、ノーラスという世界に行ったほうが早いという噂を先輩から聞く。
坂口:人間て変わらないんですよ。その頃もそうだし、今もそうです。
坂口:一作目終わったときに、すごく手ごたえはあって、スクウェアが小さな会社だったので、経営的にも大変。(カセットの本数を)低い本数を生産するということを社長から聞いた時に喧嘩した。逆にすごく手応えあったので。一生、これ以上のものは作れないから、とにかくもっと生産してくれと。一番いいものができたと思ったのは一作目。
吉田:今はディスクですが、当時はロムはICチップの塊。すごいお金かかるんですよね。結局、その情熱にうんと言ってくださったんですか?
坂口:最初の数字の倍作ってくれました。当時は僕は経営的なことはわからない若さだったが、今になって相当無理したんだろうなとありがたみがわかる。
吉田:答えられたらでいいんですが。初回出荷ってどのくらいでした?
坂口:20万ユニットって言われて、それを40万にした。
吉田:あの時期で、RPGオリジナルタイトルで20万でも相当。それを40…。みなさんわからないと思いますけど。すごいことですよ。社運かかっているどころじゃないです。
坂口:たぶん、失敗したら会社はダメだし、借金がかなりの額残るような状況だったんじゃないですかね。
坂口:これはもう、まったくないですね。FF14は楽しみたいので。ちょっとでも仕事にしちゃうと、内部構造わかっちゃうし。楽しくないので。
会場:大歓声
吉田:今日一の拍手じゃないですか!ご本人もやりたくないと無理強いも難しいですが、シーズナルイベントくらいからお願いできるといいなと。独り言ですが。
坂口:オフコース。No。
坂口:バランスって面白くて世の中すべてバランスで成り立っていて、それが壊れた時に感情もゆれる。ドラマを作るときにバランスって大事だなと思っている。
吉田:坂口さんにとって、どれが好み化ということではなく、すべてバランスのテーマってことですね。
坂口:そうですね。そういうことですね。あと、もうひとつあるのは、例えば素数の話は大好きで。一見、ランダムに見えるけど、自然界のすべてを牛耳るような、二重性も好き。
吉田:なぜこの数字が定期的に自然界に出てくるのかとか、突き詰め始めると、なんでこんな都合のいい物理法則で成り立っているのかとかそういうのがお好きでということですよね。
坂口:大好きですね。
吉田:僕も大好きな話題なので、次回はぜひそれを、飲みながら。昨日もだいぶ飲みましたけど。
坂口:素数で一気飲みの量が増えていくとか。
吉田:そこやっぱ、世代ですね。
坂口:FF16でもすごく思ったんですけど、つくりとしての意識ですけど、チャレンジする、冒険してシステムを新しくする勇気というか。続いている作品なので、ある程度同じでいいじゃないかっていう発想もできやすいんですけど。そうじゃなくて、毎回、冒険心を持つ勇気というか。それを持って進めば、もともとあるFFの引力がみたいなものが働いているので、FFらしさみたいなものはそこで構築されてしまっていて、そうじゃない、本当の意味の「ファイナルファンタジー」になるんじゃないかと思う。そういう意味でFF16はすごくチャレンジしてたし、ファイナルファンタジーらしさはすごく感じました。
吉田:坂口さんが挑戦が大事なんだって言ってくださっているのは、グッとくるものがある。FF16はDLCもあるのでまだまだがんばっていこうと思ういます。
吉田:見てる方の若い世代の中に俺がFF作りたい!っていう人もいると思うんですよ。そんな人たちにメッセージありますか?
坂口:なんていうのかな、建物ってデザインとかに目が行きがちだし、美しいビルディングだとかになるじゃないですか。でも、あれって建物の構造とかがあって初めて美しいものになる。プログラミングをある程度プログラマーになるつもりで突っ込んで学んでからデザインなりなんなりに進んだほうがいいと思う。
吉田:ゲームが複雑怪奇になって、どんどん専門性に特化していってしまっているからこそ、プログラムまず覚えておこうよというのは心理だと思う。ありがとうございます。
坂口:真面目すぎてすみません。