12月25日(月) 27:00-29:00にJWAVEで放送された堀井雄二×鳥嶋和彦×坂口博信の3人がそろう史上初の鼎談がネットでも公開されました!27日22時までの限定公開です。気になったエピソードを書き起こします。
・Apple IIでウィーザドリィをプレイしてセーブデータ改造した
・スクウェア入社当時は田中弘道氏も入れて社員3人。
・長いストーリーはファミコンの容量に入らず、セーブ機能も無いためRPGは無理だと坂口さんが諦めていたところに、ドラクエ初代作での「ふっかつのじゅもん」にショックを受けた。
・ドラクエ1はスクウェアで集まってみんなでプレイした。その時の主人公の名前「あううお」を今でもプレイヤーネームとして使っている。
・ドラクエ発売後、しばらくしてセーブが可能になるチップが登場し、カセットの容量も増えたので、ドラクエに勝つために見た目重視でFFを開発した。
・最初の開発者は4人。社外でフロムエーで募集して河津氏と石井氏が入社。集まったメンツでなんとか12人くらいで開発。
・鳥山明に勝てるわけないところからスタートして、対抗するためにあがきとして、差別化として天野さんに行きついた。会いに行ったら即答でやろうよと言ってもらえた。
・天野さんは最初に白黒の墨絵でドットを書いてくれた。なんと鳥山明さんも最初はドット絵を書いてくれた!…という偶然の一致!
・ファミコンは最初に任天堂に支払いしなければいけないため、リスクがあり営業が出した予測の販売本数は20万本。坂口氏としては目標が100万であったため、50万本はいきたく、社長に直談判して40万本。
・ドラクエは初代から110万本で、当分販売本数を抜ける気がしなかったため、みんなで会議して「ナンバリングで抜いてやろう」となり、「5」はほぼ同時期の発売、「6」ではFFが先行する形となった。
鳥嶋:FF4のロムをジャンプ編集部に持ち込んで鳥嶋さんがプレイしていたところ、ドラクエ?と編集者が集まってきて、そうでないとわかるとさーっと引いていって傷ついたみたいね。
坂口:「ジャンプ殺す」って思った。
FF7の初報を抜いた少年ジャンプ
鳥嶋:FF7は第一報をジャンプにくれと言って、スクウェアがPSのゲーム、FFを出すというのを坂口さんが決断するかどうかの電話を待って、ソニーで出しますで言ったのでジャンプの第一報で抜くというのをやった。クロノとFF7はよく覚えてる。
クロノ・トリガーの開発経緯
鳥嶋:堀井さんはいろんなものができると思っていて、大変失礼だけど、ドラクエだけで終わっていいのかと思ってて、ちょうど鳥山くんが中世風でなくてメカとか動物も描きたいと言ってて、堀井さんのキャラとメッセージをスクウェアのビジュアルと組み合わせたらすごくいいゲームができるんじゃないかと思った。ちょうどハリウッドでルーカス&スピルバーグのドリームワークスがあったのでいいコンセプトだなと。ちょうどジャンプを離れてVジャンプを創刊するのにあたり目玉が欲しかった。オールスターキャストでやりたいと(エニックスの)千田さんに行ったら、NO。
坂口:それどうやってクリアしたんですか?
鳥嶋:無視。
坂口:無視なんだ!
鳥嶋:坂口さんはおっけーでしたね。
坂口:オッケーに決まってるじゃないですか。堀井さんと鳥山さんと一緒に作れるなんて。今すぐやりましょうって。
鳥嶋:真面目にとらえました?きいたとき。
坂口:聞いちゃったから嘘とは言わせないというか、もうやるしかない。
鳥嶋:「FF+ドラクエ=クロノトリガー」「世界最高のゲームが君を待ってるぞ」みたなかんじで予定稿つくって、最後、(エニックスの)千田さんに一応コピー送って。千田さんなんとかかんとか言ってたけど、そうですよね、でも出しますって言って。
坂口:エニックス側はそうですよね。
鳥嶋:ゲームがリリースした直前までちゃんとした画面出せないじゃないですか。鳥山さんに一枚絵を描いてもらって、そっからゲーム画面にしていくからと。それってすごい映画に近い作り方だなと。
坂口:6枚ぐらい描いてもらいましたね。原始時代とか。あれすごいよかったですね。
鳥嶋:今思えば、あれが鳥山さんの最高峰。一番うまいころの絵だよね。
坂口:あれが開発に来た瞬間のざわめき。作ってたのは1993年くらいか。
鳥嶋:初めての顔合わせが、六本木の全日空ホテルで。堀井さんとすごいこんなとこで、と。
堀井:エニックスはけっこうしょぼかった。自分で配膳するようなところ。
鳥嶋:スクウェアってこんなバブルなの?って。
坂口:当時、宮本社長がよく使ってたんですよ。もう時効だけど、ソニーとの打ち合わせも3日くらい缶詰で、組めるのか?組むとしたら起こせるのか?みたいな会議もやってました。
鳥嶋:じゃあ、プレステの参入も、クロノトリガーも
坂口:ぜんぶ全日空ですね。社長がなにかお願いがあるときは、あそこの鉄板焼きやに連れていかれましたね。
堀井:あそこでラスボスをどうするか打ち合わせをした。いろいろな時代で戦えるようにしようとか決めた。
坂口:タイムマシンものというベースがあって。各時代にラヴォスがいて。いつの時代で倒してもいいアイディアがあったけど実際難しいですもんね。
鳥嶋:鳥山さんはカエルとかロボットいたね。
坂口:カエルはあんな正統派でくるとは思わなかった。もっと着ぐるみ感のあるやつかと。普通に甲冑来てましたね。
鳥嶋:ある時、途中のロムを持って行った時があって、いまいちだったんだよね。名古屋に着いてさあカセットを差して鳥山さんに見せようかという直前で坂口さんから電話があってね。悪いけどそれ見せないで持って帰ってきてもらえますかって言われて。中身がイマイチなんで僕が入って作り直しますって言われて。
坂口:FF6がちょうど終わったんで。FF6チームの半分くらい引き連れて、元のチームと合体して作りました。
鳥嶋:前から信用してなかったわけじゃないけど、初めてコイツ信用できるやつだなと思った。
坂口:いやいや最初から信用しようよ(笑) せっかくの鳥山さん、堀井さん入って。本当にいいものにしないともったいない。
鳥嶋:結果、200万本超えたんだよね。
坂口:けっこういきましたね。今でも海外でも人気ある。
鳥嶋:ファミ通の平成のベストゲーム1位になって。長いこと支持されているゲームだってね。いまエニックスとスクウェア一緒になったんだから、クロノ2簡単に出せそうなんだけどね。
坂口:どうなんですかね?鳥嶋さん次第じゃないですか?
鳥嶋:もう僕の実利じゃないですから。
坂口:実利じゃなくても言い出しはできるかもしれないですよ。
実現しなかったプレイオンライン構想
鳥嶋:今だから言えるけど、あの当時、通信をソニーがちゃんと取り組んでいればプレイオンライン実現できていたんだよね。
坂口:まぁ、いろいろ弊害がありましたが。早すぎたのもあるし、モデムみたいな部分で協力をられなかった。
鳥嶋:今だから言うけど、あの当時、そこでジャンプが配信しようという話になっていた。
坂口:ホントご迷惑をお掛けしました。
鳥嶋:あの時は本当にオンラインで何ができるのかって未来像、マンガをデジタルで読むようにするにはどうすればいいか?って一番真剣に考えてた。
坂口:右開き、左開きみたいなのも含めて。
鳥嶋:で、金曜の深夜12時に月曜発売のジャンプを送信する考えだった。あの時、スクウェアが傾かなければねー。
坂口:傾いたわけじゃないっす。
鳥嶋:誰かさんがねー、傾けなければねー。
坂口:何の罪もないっす。